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サクラマスの飼育手帳

魚住 一三著

本体価格¥840+税 '14/01/31刊 ISBN978-4-903866-18-5 C2062






             目次
1、著者について
2、サクラマスの現状と生活史
 (1)現状
  (2)名前の由来
    (あ)さくらますとは
        (い) ヤマメ(山女)とは
 (3)サクラマスとヤマメの共通点と相違点
  (4)サクラマスの生活史、分布・越夏越冬
3、サクラマスの養殖指導T
  (1)	養殖の道具類
     A ミキサー B 引出し式孵化槽 C 盆蓋 D 自動給餌器 E 薬浴槽 F 重量計
     G 網 H タモ網 I 箱網 J 選別器 K 消毒桶 L 顕微鏡 M ジェット洗浄機
     N 酸素ボンベ O ポリエチレンシート P スチロール箱 Q イソジン R 等調液 
     S 汽水溶剤 T 配合飼料 

  (2)養殖の施設・設備 
   A 孵化室 B 孵化槽 C 餌付け水槽 D 稚魚池 E 養成池 F 親魚池
      G 道具小屋 H 飼料保管庫
 (3)わき水の取得
4、 サクラマスの養殖指導U
  (1)養殖の技術とコツ
  あ) 親マスの捕獲 @ 雌雄識別 A 隔離 B 給餌 C 熟度検査(判別)
   い)採卵・受精    @ 採卵 A 採精 B 媒精 C 吸水 D 孵化 E 発生
     F 水温 G 酸素
  う)未受精卵の選別 @ 卵消毒 A 卵検定 B 発眼卵出荷
  え)給餌          @ 餌付け A 水温・体重 注水量・飼育面積 飼育密度 給餌率
       B 稚魚出荷 春稚魚 秋稚魚
   お)養殖の施設設備の図解
   か)飼料関係        @ 種類と栄養 ・タンパク質 ・炭水化物 ・脂質他
       A 給餌法、魚長・飼料直径 B 給餌回数
   き)養殖適地        @ 用水 A 地形 B 地質 C 交通 D 水利権
   く)成長            @ 容量 A 生産量 B 適正収容量 C 生存率 
   け)販売           @ サイズ ・サクラマスとしての販売 ・ヤマメとしての販売 
       A 出荷作業 B 活魚輸送
   こ) 病気          @ ウィルス性 A 細菌性(細菌病)・ビブリオ病 ・せっそう病
       ・腎臓病 ・冷水病 B 真菌性 ミズカビ病 C 寄生虫病 D 薬浴
       E 防疫対策 F 薬剤廃棄
  さ) 配合飼料の動向  @ 魚粉類の生産および輸出入動向  A 魚粉類の需給と価格動向
    B 養魚飼料業界の動向 C 漁業政策面での対応   し)必要な諸道具類とその価格
5、参考文献
6、要点テスト・・・(1)〜(15)
7、サクラマス(ヤマメ)養殖活動日誌 ・・・冬・春・夏・秋
8、回答編
9、著者紹介




見所:


       サクラマスの養殖 ―養殖の楽しみ―

                
昭和39年4月1日に山形県立加茂水産高校赴任、すぐに水産生物同好会を立ち上げ、翌年、水産生物
部に昇格。ニジマス・金魚・アワビ・サザエなどなど淡水産・海産魚介類を小規模の水槽や木箱の
池で飼育し始める。
 好きなことを仕事にしたので、退屈はしなかった。毎日は楽しかった。小規模の水槽や木箱の池
で飼育し始めたニジマス・金魚・アワビ・サザエなどは、授業・実習・部活動で指導すると、年々
規模を拡大し、飼育魚介類も多種になる。定年後更に常勤9年、非常勤2年の「超過勤務」になっ
た。
 「飼育手帳」とあるように、本書は飼育の実際を分りやすくコンパクトに書いたものである。普
通なら除外されやすい、施設・設備・道具も項目を設けて、使い方を書いた。水産校で使う副読本
でもあるため、備忘用に「要点テスト」を用意した他、養殖活動日誌も添付した。採卵・受精・孵
化・餌付けの過程は、分りやすく丁寧に、同じく魚病についても一度発症すると打撃が大きいので、
症状・予防・水質管理と、魚病根絶をめざして書かれている。
 最近は、公民館の講座にも出席して、サクラマス飼育の話しをする。女性にも退職者にもこのサ
クラマスの飼育の話しをする。地元の加茂水族館には「サクラマス」を展示している。山形県の県
魚は「サクラマス」と定められている。
 加茂水族館は別名「クラゲの水族館」とも呼ばれる。「くらげの館長」として知られる村上龍男
さんは、館長である以上に、川魚釣りの名人として知られている。その館長さんにサクラマスの推
薦を御願いした。桜の開花期に魚味の旬を迎えるというサクラマスの美味しさを語ってくれた。そ
の言葉もまた、なにより、とても分りやすい。            

書評:サクラマスの養殖を考える 氏名 濱 洋文:

              
 IT化にグローバル化が重なって、日本の老人は生きにくくなった。100年昔なら、隠居し、巡礼
すれば良かったのだが、その種のセイフティーネットはない。今にして思えば、農山漁村を捨て都
会に走ったことが「問題」だったのだが、問題だと言うだけなら、その種の「問題」は山の様に抱
えている。肝心なことは、「単純に考える」ことだろう。
 最近は『蟹工船』『カラマーゾフの兄弟』など、複雑な本を読む若者が増えているが、老人にそれ
は間違っている。複雑な図書が得意な人、苦手な人。複雑なゲ−ムが好きな人、嫌いな人。入組んだ
交渉が向く人、向かない人がいる。
 もし60歳を過ぎて、なお複雑な図書を読み、複雑な折衝やゲームに励もうとするなら、それはやめ
めることを勧める。それよりは、山や海に出て働くことを考えてはどうだろう。
 狩猟をし、山菜を採り、果樹を育てる。すると、一生に一度かも知れないが、クマを撃った男や、
マグロを釣った男に出くわすことが出来る。アユよりも美味しい五月のヤマメ、銀鮭よりも美味し
い富山の五月鱒に出会うことがある。勝手な解釈だが、この本は、そういう退職後を過ごすための
図書だと思う。なにより、とても分りやすい。       






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