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水素核融合に向けての基礎的諸問題


冨田達也・冨田江一著


本体価格¥4,500+税 '16/03/31刊 ISBN978-4-903866-33-8 C3052   B5版、97頁


水素核融合に向けての基礎的諸問題
         
             目次

第1 章原子核の問題
 1. 原子核に関する知識...................................... 5
  1–1. 原子核.............................................. 5
   1. 陽子................................................ 5
   2. 中性子.............................................. 6
  1–2. 原子核の壊変........................................ 6
 2. 同位体とβ± 壊変の原理.................................12
 3. 放射性核種..............................................14
  a. 中性子による原子核反応...(n, γ) 反応 ・(n, p)反応 
  b. 陽子による原子核反応       
  c. α 粒子による原子核反応...............................20
 4. 人工核分裂(破砕反応) .................................22
 5. 原子核に関する問題点....................................23
  1. 放射壊変で放出される粒子の問題........................23
  2. 核子の結合エネルギーに関わる物質......................23
  3. 安定な核種が存在しない元素がある......................25
  3. 新しい原子核..........................................26
   コラム2. 光子..........................................35
第2 章ビッグバーン宇宙論の問題37
 1. ビッグバーン宇宙論......................................37
 2. ビッグバーン宇宙論の問題点..............................38
 3. ビッグバーン及び超新星爆発の原因........................40
 4 超新星爆発後の残骸.......................................41
第3 章核融合の問題..................................... .....44
 1. 核融合の現状............................................44
 2. 核融合反応..............................................44
 3. 放射壊変................................................46
  コラム3. ウランの核分裂と合成............................49
 4. 核融合と称されていた研究について........................53
  コラム4. 恒星の質量......................................57
第4 章新しい宇宙論 ..................................... .. 62
 1. 自然循環の必要性........................................62
 2. 小宇宙の循環........................................... 64
 3. 太陽のこれから..........................................67
 4. 超新星爆発・新星爆発................................... 72
 5. 小宇宙の循環の機構..................................... 77
本書のまとめと今後の問題点...................................79

        


見所:水素核融合に向けての基礎的諸問題

         
 現在一般的に使用されている原子力発電はウランの核分裂によるものです。しかし,代替案として,
太陽の熱エネルギー放出を擬した熱核融合の研究が進められています。なぜなら,原子力発電は,遠い
将来ウラン燃料が枯渇すること,放射性物質に関連した事故の危険性が高いことが挙げられるからです。
それに比べて核融合は,水から簡単に分離できる水素を利用したものであり,放射能による危険性もあ
りません。
 核融合は,原子力発電を実用化した技術力で克服可能と考えられ,様々な努力が試みられてきました
が,まだ成功には至っていません。太陽の熱エネルギーは,内部の高いエネルギーをトリガーとする陽
子の核融合によって水素がヘリウム核になるときに放出される莫大な核エネルギーであると考えられて
います。この仮説の実証へ向けて,熱核融合炉による実験が20 世紀中頃から国の主導で始まりましたが,
この約60 年間成功例はありません。
 初期の研究では,自然で認められる最も高い温度が約1 千数百万度ということもあり,熱核融合の反
応開始温度が約1000 万度と考えられていました。しかし,技術力を駆使してその温度を達成しても,
自己点火しませんでした。その原因を自己点火温度の不足と考え,反応開始温度を徐々に高く設定して
いきましたが,今までのところ核融合反応は見られていません。さらに,高温を達成しようと,装置の
巨大化を図っており,それに伴い建設費も増加の一途をたどっております。このため,一国だけの問題
ではなくなり,国際協力により,1992 年7 月からITER(国際熱核融合実験炉)の建設へ向けての計画
が開始されています。
 温度を上昇させても,核融合の開始が認められないということは,温度の問題以外の他の要因を考え
る必要があるのかもしれません。そこで,本書では,熱核融合の基礎となる理論をもう一度問い直すこ
とによって,この問題を考えたいと思います。その際,熱核融合論の基礎となる原子核論や宇宙論まで
さかのぼり考察を加え,この1 冊にまとめました。
 本書がこういった領域の研究に興味を持つ大学生や新たに挑戦しようとする大学院生など若い研究者
への1 つの道筋となり,筆者の仮説が実験的に証明されて,核融合によるエネルギーの実用化が始まれ
ば幸いと思います。
      

書評:


         



      

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