反核都市の論理 三重大学出版会   

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地質要因から見た安全安心な斜面管理

   

相澤泰造著

本体価格¥2000+税     ISBN978-4-903866-13-0 C3061

 

   
 



 
            

目  次

まえがき
第1章 序論
1.1 はじめに
1.2 地質帯・岩相と斜面の破壊・変形形態分類に関する諸問題
1.3 日本の地質概要と三重県の地質的位置付け
1.4 本書の目的と検討方法
1.5 考察
第2章 三重県における地質帯・岩相と斜面破壊形態の特徴
2.1 三重県の地質
2.2 地質帯・岩相と斜面破壊形態の特徴
2.3 考察
第3章 三重県以外の岩相と斜面破壊事例
3.1 グリーンタフ地域における地すべり
3.2 グリーンタフ地域における大規模岩盤崩落
3.3 ネパール南部の地すべり
3.4 考察
第4章 切土法面の膨張
4.1 法面の状況
4.2 試験・調査
4.3 FEM解析
4.4 X線回折結果
4.5 考察

第5章 豪雨と土砂災害
5.1 災害概要
5.2 地質状況
5.3 土砂災害分布
5.4 考察
第6章 斜面破壊の規制要因
6.1 現地調査
6.2 現地調査データの分析
6.3 考察
第7章 地質要因ごとの斜面破壊形態の特徴と斜面災害危険箇所の抽出
7.1 地質帯・岩相と斜面破壊形態の特徴
7.2 斜面災害危険箇所抽出手法
7.3 考察
第8章 斜面破壊のリスクマネジメントとクライシスマネジメント
8.1 斜面破壊のリスクマネジメント
8.2 リスクマネジメント手法の適用
8.3 斜面破壊のクライシスマネジメント
8.4 クライシスマネジメント手法の適用
8.5 考察
第9章 総括

参考文献
用語解説 

  

作者:

   

要旨 氏名:編集部

       

地質は学びのきっかけになる

 
日本列島は北米プレート、ユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレート
の4つのプレートが衝突する場所にあるため、世界的にも地震や火山が多く、国土は脆弱
で複雑な地質からできている。さらに、アジア東縁のモンスーン地帯にあるため、雨や雪
も多い。このため、両者があいまって日本では毎年地すべりや崩壊など多くの斜面災害が
発生し、昔から人命や財産・社会資本に甚大な被害を与えている。
2012年東日本大震災をはじめ、2004年新潟中越地震などの大地震では多くの斜面災害が発
生した。一方、目を世界に転じると、豪雨・長雨による災害は1980年代後半から増加して
いる。2006年豪雨を誘因としてフィリピンのレイテ島で地すべりが発生し、ギンサウゴン
村のほぼ全域をのみ込み大きな人的被害を与えた。
このため、筆者は、長年にわたって斜面災害とかかわってきた経験をもとにして、斜面災
害について、地質とリスクマネジメント・クライシスマネジメントの観点からまとめよう
と思い立った。
本書は斜面災害にかかわる土木・地質技術者をはじめ、土木・地質技術者を目指す学生に
も参考になるデータを中心に取りまとめたものである。しかし、ここで述べた斜面災害は、
代表的な事例に限っている。したがって、これ以上に複雑なものが多々あると思われる。
そのような場合は、現地の地質や現象を良く観察すれば、斜面災害の発生機構や発生確率
が分かると思う。
近年、コンピュータによる解析技術の進歩には目をみはるものがある。しかし、計算対象
となるデータが不十分ではそれから導かれた結果も信頼性のあるものとは言えない。まず、
フィールドで十分に現象を観察し、それに調査データを加える必要がある。出発点はまず、
現地踏査である。フィールドを良く歩き何回も観察すれば、一回では気が付かなかった現
象も見えてくる。本書が斜面災害の発生機構やその確率を知るためのきっかけになれば幸
せである。
現在は公共事業をはじめとした土木事業が困難な状況にある。しかし、国民の生命・財産
を守るためにはハード・ソフトを問わず、災害対策の事業は欠かせないものであり、より
効率的な対応が必要となっている。このような対応には斜面災害に対しても組織経営など
で用いられているリスクマネジメントやクライシスマネジメントの手法を用いることが有
効と考え、地質要因を考慮した斜面のリスク・クライシスマネジメントを執筆した。
本書は2010年に三重大学に提出した学術博士請求論文を基に斜面のクライシスマネジメン
トを加え再構成したものである。本書が少しでも役に立てれば幸いである。
おわりに、本書を書くにあたって多くのご指導・ご指摘をいただいた方々や、刊行までに
様々なご協力をいただいた方々に感謝の言葉を述べたい。また、資料を提供していただい
た関係各位の多くの方々に感謝の言葉を述べると共に、これら皆様のおかげをもって本書
を発行できたことは私の望外の喜びである。


                             24年4月吉日
                              相澤 泰造
 
 
      

タイトル:

                     氏名:               )

  
            

書評

              
                    
 


 
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