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起業するヨンキュウ

田中皓正著

\2,500+税




・概要

 四国の豊後水道に起業したヨンキュウは、稚魚の孵化・販売から成魚の買付け、販売まで手がける魚類流通業者に変貌し、東京株式市場での株式公開(店頭登録)を果たす。
 年商は500億円で一企業としては日本最大の取扱高になる。
 そのヨンキュウが東京進出の際に経験した「東西の味覚の壁」は『バカの壁』を彷彿とさせて面白い。
 また試行錯誤の末に成功する「株式公開」事業は、企業、株式公開を企てる自営業者にはかならず一読の価値がある。また成長企業の経営研究の資料としても最適である。

・目次

 T 基盤確立期 昭和38年〜昭和50年
 U 拡大期 昭和51年〜平成2年
 V 安定成長期 平成3年〜平成14年
 W 新しい消費の波(平成10年から)
   

書評

『起業するヨンキュウ』田中皓正著
      ーこんなに幸運な企業があった!ー 國場弥生
                    All About 外貨投資担当ガイド)

 農業・漁業分野の自由化が進み、新規に参入する企業が増え始めた。と同時にすでにその分野で成功している企業経営の先見性が社会の注目を集めている。株式会社ヨンキュウはそういう珍しい企業(上場企業)の実例に当たる。四国の南の端で起業したヨンキュウが鮮魚流通分野のトップ企業になる経過を辿ると、「こんなにも幸運な企業があった!」という大きな「感嘆」に行き着くことになる。
 高度経済成長とともに衰退に向かう沿岸漁業を振興する「沿岸魚業等振興法」が施行される昭和48年、ヨンキュウは四国の宇和島市で設立される。同「振興法」のもとで、宇和海沿岸の自治体、漁業組合は沿岸漁業の再生に向かっていっせいに動き出す。これがヨンキュウの第一の幸運に当たる。
 昭和39年夏の東京オリンピックで加速される日本の経済成長、サラリーマンの団地生活と三種の神器の普及が食生活の改善に拍車をかけた。都市部に生じたこの食生活の豊穣さがヨンキュウの第二の幸運に当たる。
 また昭和36年に始まる宇和海の養殖漁業は、昭和49年には養殖事業者数で約50倍、養殖尾数で約60倍の急成長を遂げる。これがヨンキュウの第三の幸運に当たる。
 さらにこの期間の養殖ハマチの漁価は、インフレの加速もあって1`200円から900円まで値上がりする。これがヨンキュウの第四の幸運に当たる。
 ヨンキュウはこの追い風を受けて、地域漁協の債務保証を付けることを条件に、零細業者に餌代の「3ヶ月手形決済」を約束する。これは5月に稚魚を購入した養殖業者が、8月まで餌料を借り置き、8月から順次、成魚を市場に出荷しつつ餌料代を支払うことを可能にした。こうして宇和海では急速に養殖業者が増加し、やがて宇和海には都市 部のサラリーマン所得を約20%上回る養殖産業が出現する。
 紙面の都合で本書の後半部の東京進出、株式公開、関東の味覚の壁など、重要事項を省略したが、農業・漁業分野に新規に参入する企業が増え始めた現在、それらの事項もまた重要な意味を持つ。企業関係者に役立つように担当者の実名を上げて詳しく書かれている。企業経営の持つ先見性についても大いに触発される一冊だと言える。(2006/3/3)

 
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