ジョン・ドス・パソスを読む 三重大学出版会   

カタログ カタログに戻る
 


ジョン・ドス・パソスを読む

廣瀬 英一 著

¥2200+税

   
 



 
  本書は、アメリカの小説家ジョン・ドス・パソス(1896−1970)の代表作『マンハッタン乗換駅』(1925 )、『U.S.A.』(1938)を中心に論じたドス・パソス研究書である。『U.S.A.』は、出版当時批評 家を勢ぞろいさせるほど論じられたが、1930年代以降はドス・パソスは折りに触れて論じられるに止まっている。しか し、彼が二十世紀アメリカ文学に重要な位置を占めることは間違いない。(篠田一士は、『U.S.A.』を「二十世 紀の十大小説」のひとつとして取り上げている。)そのコラージュ(モンタージュ)的小説世界の集合性・全体性、ま た歴史としての小説(ドス・パソスの言う「同時代年代記」)という特質は大きな魅力である。作家としての社会・政 治との関わり方も検討に値する。さらに、彼の小説を読むことは、アメリカとは何か、アメリカ的価値とは何か、二十 世紀のアメリカの歴史はどういうものであったかなどの問題を考えるきっかけにもなる。
  著者は、テキストの精読という基本的な方法で、表現の形式・方法と内容が一体になった上記2作品を中心に読む。 ドス・パソスの研究書は、単行本としては、わが国では「案内書」(1967)が1冊あるだけであったから、本書はこ の作家の初の研究書と言ってよい。

   

書評



 
カタログに戻る
 

(C)三重大学出版会,2006
All rights reserved.